千葉県の新築の屋根の台風対策は?房総半島台風後の瓦の基準と基準風速

新築の家の屋根の台風対策を、基準風速、瓦の緊結、耐風等級の3つに分けて示した図。屋根の備えは、候補地の基準風速と瓦の留め方で決まることを示す
PR

本サイトは、特定の住宅会社から広告費を受領しています。また、電話相談で住宅会社をご紹介し、運営会社が紹介料を受け取る場合があります。詳しくは運営者情報をご覧ください。

結論新築の家の屋根の台風対策は、建築基準法施行令と国土交通省の告示で決まっています。令和元年房総半島台風で瓦屋根の被害が相次ぎ、2022年1月1日からは新築の瓦屋根のすべての瓦をくぎやねじで固定することが義務になりました。固定の方法は市町村ごとの基準風速で変わり、市原市は38m/sの区域です。土地と家を決める段階では、候補地の基準風速と屋根材の種類、瓦の留め方の記録を確かめます(国土交通省・千葉県・気象庁・市原市の資料を2026年10月5日に確かめた内容です)。

2019年9月の台風第15号は、千葉県の各地で屋根の瓦を飛ばし、多くの家の屋根がブルーシートで覆われました。気象庁はこの台風を「令和元年房総半島台風」と名付けています。これから家を建てる人にとっては、新しい家の屋根が同じ規模の風にどう備えているのかが気になるところです。

ここでは、屋根を風で飛ばさないための建築基準法の決まりと、房総半島台風のあとに変わった瓦の基準、市町村ごとに決まっている基準風速、住宅性能表示の耐風等級を、国・県・市の公表資料をもとにまとめました。屋根材や工事の価格は扱いません。本サイトが扱う情報の範囲は、掲載情報の範囲と確認方法のページにまとめています。

編集部注

千葉の新築ノート 編集部

屋根の強さは見た目では分かりにくく、完成したあとに瓦の留め方を確かめるのも難しい部分です。一方で、基準風速は市町村ごとに決まっており、候補地が決まれば調べられます。

房総半島台風の調査では、すべての瓦を固定するガイドライン工法の屋根は、それ以外の工法の屋根より被害が少なかったと報告されています。新築では固定が義務になったいま、確かめたいのは「固定されているか」よりも「その市町村の風に合った方法で固定されているか」です。

このページの結論

  • 決まりの場所:屋根ふき材は風圧で落ちないようにすることが建築基準法施行令第39条で求められ、具体的な方法は告示で定められています
  • 房総半島台風:千葉県内では住家の全壊448棟・半壊4,694棟・一部損壊77,091棟の被害があり、屋根の被害の8割は瓦屋根でした
  • 瓦の基準:2022年1月1日から、新築の瓦屋根は軒・けらば・むね・平部のすべての瓦をくぎやねじで固定することが義務になりました
  • 基準風速:千葉県内の市町村は34・36・38m/sの3つの区分に分かれ、市原市は38m/sの区域です
  • 市原市の平部:基準風速38m/s以上の区域では、平部の瓦を固定したうえで、隣どうしをフックなどで組み合わせることが求められます
  • 耐風等級:住宅性能表示の耐風等級は構造躯体の強さを等級1・2で示すもので、屋根の瓦の留め方は告示の基準で別に確かめます

屋根を風で飛ばさない決まりは、建築基準法施行令と告示に定められている

新築の家の屋根を風で飛ばさない決まりは、建築基準法施行令第39条にあります。屋根ふき材は風圧や地震などで脱落しないようにしなければならず、その構造は国土交通大臣が定めた方法による、とされています。具体的な方法を定めたのが昭和46年建設省告示第109号で、瓦の留め方もここに書かれています。

建築基準法施行令の第39条第1項は、屋根ふき材・外装材などが風圧や地震その他の震動・衝撃で脱落しないことを求め、第2項で屋根ふき材の構造を大臣が定める方法によるものとしています。構造計算で安全を確かめる場合の基準は、第82条の4にもとづく平成12年建設省告示第1458号です。

建物が受ける風の力の計算は、第87条に定められています。風圧力は速度圧に風力係数を掛けて求め、速度圧は「その地方の過去の台風の記録にもとづく風害の程度」などに応じて大臣が30m/sから46m/sの範囲で定める基準風速を使って計算します。この基準風速を市町村ごとに定めているのが、平成12年建設省告示第1454号です。

階数が2以上か延べ面積が50㎡を超える木造の家では、第46条第4項が、壁や筋かいを地震とあわせて風圧に対しても安全になるように設けることを求めています。屋根の留め方と、建物が受ける風の力の計算は、どちらも基準風速を前提にした決まりです。


令和元年房総半島台風では、千葉県内で7万7千棟を超える住家が一部損壊した

令和元年房総半島台風(台風第15号)は、2019年9月9日の明け方に千葉市付近に上陸し、千葉市で最大瞬間風速57.5m/sを観測しました。千葉県の集計では、県内の住家の被害は全壊448棟・半壊4,694棟・一部損壊77,091棟で、翌月の令和元年東日本台風の被害を大きく上回ります。

気象庁の災害時気象報告によると、千葉市中央区では9日4時28分に最大瞬間風速57.5m/s、最大風速35.9m/sを観測し、どちらもそれまでの記録を更新しました。最大風速の観測史上1位の記録を更新した地点は、千葉県を中心に19地点にのぼります。市原市のアメダス牛久でも最大瞬間風速33.9m/sを観測し、それまでの記録(2013年10月16日の29.4m/s)を上回りました。気象庁は2020年2月19日に、この台風を「令和元年房総半島台風」と名付けています。

千葉県の令和元年房総半島台風と令和元年東日本台風のページは、県の「災害復旧・復興に関する指針」(令和4年3月改訂)をもとに、県内の住家の被害を次のようにまとめています。

2019年の2つの台風による千葉県内の住家の被害。房総半島台風は令和元年房総半島台風(9月)、東日本台風は令和元年東日本台風(10月)。出典:千葉県「令和元年房総半島台風」「令和元年東日本台風」のページ(千葉県災害復旧・復興に関する指針 令和4年3月改訂より作成されたもの)
台風(2019年)全壊半壊一部損壊
房総半島台風448棟4,694棟77,091棟
東日本台風32棟379棟10,607棟

千葉県のページは、房総半島台風を、過去69年間に関東地方へ上陸した台風の中で最強クラスであったと同時に、暴風域が非常に局所的で、急に風雨が強まる特徴を持った台風と説明しています。一部損壊は全壊や半壊に至らない被害の区分で、県内で7万7千棟を超える家がこの区分の被害を受けました。次の章で見るように、被害のあった屋根の多くは瓦屋根でした。


屋根の被害の8割は瓦屋根で、固定されていない部分から壊れていた

房総半島台風のあと、国土交通省が大学や国の研究機関と行った調査では、被害のあった屋根の8割が瓦屋根でした。瓦屋根の被害は、当時の告示の基準で固定の対象になっていなかった部分に多く、すべての瓦を固定する工法の屋根は、瓦が風で外れる被害が少なかったと報告されています。

国土交通省の社会資本整備審議会の部会の資料(2020年7月)は、業界団体が作成し建築研究所が監修した「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」にもとづく工法(ガイドライン工法)と、それ以外の工法とで、部位ごとの被害の割合を比べています。

令和元年房総半島台風の瓦屋根の部位ごとの被害の割合。出典:国土交通省「令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の強風対策の方向性」参考資料(2020年7月)、同省の施工者向け資料(国土技術政策総合研究所・建築研究所の現地調査による)
屋根の部位すべての瓦を固定する
ガイドライン工法
それ以外の工法
(当時の告示の基準など)
軒・けらば11%43%
むね27%68%
平部45%57%

当時の告示は、軒とけらばの端から2枚までの瓦と、むねの1枚おきの瓦だけを固定の対象にしており、屋根の広い面を占める平部には固定の決まりがありませんでした。平部の被害の原因を見ると、ガイドライン工法以外の屋根では風の力で外れた瓦が31%を占めた一方、ガイドライン工法の屋根では7%でした。

同じ資料は、どちらの工法でも、飛んできた物が当たって瓦が割れる被害が多かったことも示しています。平部の被害の原因のうち飛来物による破損は、ガイドライン工法で38%、それ以外の工法で25%でした。瓦をしっかり固定しても、周りから飛んでくる物による被害は残るということです。また、沿岸部では局所的な強い風により、ガイドライン工法の屋根や小屋組にも一部で被害が出ていました。


2022年1月1日から、新築の瓦屋根はすべての瓦を固定する決まりになった

2022年1月1日から、新築の家の瓦屋根は、軒・けらば・むね・平部のすべての瓦をくぎやねじで固定することが告示で義務になりました。房総半島台風の調査を受けて、それまで業界団体のガイドラインにとどまっていた工法が、建築基準法の告示の基準に位置づけられたものです。

改正は2020年12月7日に公布された国土交通省告示第1435号で、昭和46年建設省告示第109号の瓦の項目を書き改めました。国土交通省の建築物の強風対策のページに、新旧対照表と改正の概要が載っています。

瓦屋根の緊結の方法の改正前と改正後。出典:国土交通省告示第1435号(2020年12月7日公布、2022年1月1日施行)の新旧対照表と、同省の改正の概要。軒は屋根の下端、けらばは屋根の横の端、むねは屋根の頂部、平部はそれ以外の面(部位の説明は編集部による)
屋根の部位改正前改正後
(2022年1月1日から)
軒端から2枚までの瓦を1枚ごとに、銅線・鉄線・くぎなどで固定軒の瓦を3本以上のくぎ(抜けにくく加工したもの)かねじで固定
けらば端から2枚までの瓦を1枚ごとに、銅線・鉄線・くぎなどで固定袖瓦を3本以上のくぎかねじで固定
むね1枚おきに、銅線・鉄線・くぎなどで固定下地に固定した金物に芯材を取り付け、冠瓦をねじで芯材に固定
平部決まりなし桟瓦をくぎかねじで固定し、基準風速などの条件によっては隣の瓦とフックなどで組み合わせる

改正後の告示は、この方法と同じ以上の耐力を持つ方法でふくことも認めており、告示第1458号の構造計算で安全が確かめられた場合は、この方法によらなくてよいとしています。国土交通省の概要は、屋根ふき材や留める金物にさび止めや腐れを防ぐ措置をすることもあわせて示しています。

この基準は、2022年1月1日以降に新築などをする建物に適用されます。それより前に建てられた家の瓦屋根は、新しい基準に合っていなくても、ただちに直すことは求められていません(既存不適格の扱い)。これから土地とあわせて中古の家や古家付きの土地を検討する場合は、屋根がいつの基準でふかれたものかを分けて考える必要があります。


基準風速は市町村ごとに決まり、千葉県内は34・36・38m/sの3つに分かれる

基準風速は、建物が受ける風の力を計算するもとになる風速で、平成12年建設省告示第1454号が市町村ごとに30〜46m/sの範囲で定めています。千葉県内は34・36・38m/sの3つに分かれ、県の北西部が34m/s、房総半島の中部・南部と九十九里浜から銚子にかけてが38m/sです。

千葉県と県内の特定行政庁でつくる千葉県特定行政庁連絡協議会は、県内の建築確認の統一的な見解として千葉県建築基準法令関係取扱基準集をまとめており、2026年版に県内の市町村の基準風速の一覧を載せています。市原市も、この協議会に加わる特定行政庁の1つです。

千葉県内の市町村の基準風速(V0)。出典:千葉県特定行政庁連絡協議会「千葉県建築基準法令関係取扱基準集2026年版」の「地表面粗度区分及び基準風速V0について」。かっこ内は合併前の市町村の区域
基準風速市町村
34m/s市川市、船橋市、松戸市、野田市、柏市、流山市、八千代市、我孫子市、鎌ケ谷市、浦安市、印西市(旧印西市)、白井市
36m/s千葉市、成田市、佐倉市、旭市(旧干潟町)、習志野市、四街道市、八街市、印西市(旧印旛村・旧本埜村)、富里市、香取市、山武市(旧山武町)、酒々井町、栄町、神崎町、多古町、東庄町、芝山町
38m/s銚子市、館山市、木更津市、茂原市、東金市、旭市(旧旭市・旧海上町・旧飯岡町)、勝浦市、市原市、鴨川市、君津市、富津市、袖ケ浦市、南房総市、匝瑳市、山武市(旧成東町・旧蓮沼村・旧松尾町)、いすみ市、大網白里市、九十九里町、横芝光町、一宮町、睦沢町、長生村、白子町、長柄町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町

旭市・印西市・山武市は、合併前の市町村の区域によって基準風速が違います。同じ取扱基準集は、風の計算に使うもう1つの区分である地表面粗度区分について、県内の特定行政庁は規則で区域を定めていないため、区分ⅡかⅢのどちらかを、構造設計者が建物の位置と高さから判断するとしています。

国土交通省の部会の資料は、基準風速が1991年までの気象の記録にもとづいて、50年に1度の確率で起こるとされる風速をもとに定められていると説明しています。房総半島台風のあと、同省は千葉県内の観測記録を最新のデータまで加えて計算し直しましたが、どの地点でも現行の基準風速を超えなかったと報告しています。


市原市は基準風速38m/sの区域で、平部の瓦は隣どうしを組み合わせる形が求められる

市原市は基準風速38m/sの区域にあたるため、新築の瓦屋根の平部では、桟瓦をくぎやねじで固定したうえで、隣り合う瓦どうしをフックなどで組み合わせる形が告示で求められます。市原市の資料も、瓦屋根に改修する場合は、市原市は基準風速が大きいため防災瓦とする必要があると説明しています。

改正後の告示第109号は、平部の瓦について、基準風速が38m/s以上の区域であるときは、桟瓦を下地に固定し、かつ隣り合う桟瓦をフックその他これに類する部分で構造耐力上有効に組み合わせる方法とすることを定めています。基準風速が32m/s以上の区域では、F形の桟瓦を使う場合も同じ扱いで、F形を2本以上のくぎやねじで固定する場合は除かれます。

千葉県内の区分に当てはめると、34m/sや36m/sの市町村ではJ形・S形の桟瓦をくぎやねじで固定する方法が使えますが、38m/sの市原市や袖ケ浦市、木更津市では、組み合わせの仕組みを持つ瓦か、同じ以上の耐力を持つ方法、または構造計算で確かめた方法が必要になります。同じ瓦屋根でも、市町村によって選べる瓦の形と留め方が変わります。

市原市の瓦屋根耐風改修促進事業の案内と補助金申請の手引きは、2021年12月31日以前に建てられた建物の、改正後の告示に合わない瓦屋根を全面的にふき替える工事を対象とした制度です。新築の家は対象になりませんが、手引きに書かれた「防災瓦とする必要」は、新築の瓦屋根を考えるときにも同じ告示の基準から読み取れる内容です。担当は市の都市部建築指導課です。

瓦の留め方は、候補地の市町村の基準風速で変わる

新築の瓦屋根はどこでもすべての瓦を固定しますが、平部の瓦を隣どうし組み合わせる必要があるかは、基準風速によって決まります。市原市のような38m/sの区域で瓦屋根を選ぶ場合は、使う瓦の形と、組み合わせの仕組みがあるかを設計の段階で尋ねます。


瓦以外の屋根は今回の改正の対象外で、屋根を支える小屋組には金物での緊結が求められる

2022年の告示の改正で固定の方法が強められたのは、粘土瓦とセメント瓦の屋根です。スレート屋根や金属瓦・金属板の屋根は改正の対象ではなく、それまでの決まりで扱われます。屋根材の下で屋根を支える小屋組は、平成12年建設省告示第1460号で、金物などで各部を緊結することが求められています。

国土交通省の施工者向けの資料は、改正後の告示の基準で強風対策が求められる瓦を、粘土瓦とセメント瓦と示し、スレートや金属の屋根は規制の対象として挙げていません。市原市の手引きも、既存のスレート屋根や金属屋根は基準の改正がないため補助の対象外としています。

小屋組について、同省の部会の資料は、告示第1460号がすべての木造の建物に、小屋組の各部をそこに生じる力を伝えるように金物などで互いに緊結することを求めていると整理しています。房総半島台風の調査でも、沿岸部の局所的な強い風で小屋組や野地板がはがれる被害が一部で見られました。屋根材の種類にかかわらず、屋根材の下の構造をどう留めているかは、図面と工事の記録で確かめる部分です。


構造躯体の風への強さは、住宅性能表示の耐風等級1・2で示される

住宅性能表示制度の耐風等級は、暴風を受けたときの構造躯体の倒れにくさと傷みにくさを、2段階で表します。施行令第87条に定める風の力に耐える程度が等級1、その1.2倍の力に耐える程度が等級2で、評価の対象は構造躯体と定められています。屋根の瓦の留め方は、告示の基準で別に確かめます。

国土交通省の評価方法基準は、「稀に発生する暴風による力」を第87条に定める風圧力に相当する力、「極めて稀に発生する暴風による力」をその1.6倍の力と定めています。新築住宅の住宅性能表示制度ガイドは、前者を50年に1度程度、後者を500年に1度程度発生する暴風と説明しています。

耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)の等級ごとの水準。出典:国土交通省「評価方法基準」(最終改正 令和8年3月31日)、同省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」(令和7年12月1日施行版)
耐風等級極めて稀な暴風
(500年に1度程度)
稀な暴風
(50年に1度程度)
等級2第87条の風の力の1.6倍の、さらに1.2倍の力で倒壊・崩壊しない第87条の風の力の1.2倍の力で損傷しない
等級1第87条の風の力の1.6倍の力で倒壊・崩壊しない第87条の風の力で損傷しない

第87条の風の力は、候補地の基準風速をもとに計算されます。同じ耐風等級2でも、基準風速38m/sの市原市で求められる力と、34m/sの市町村で求められる力は同じではありません。等級は、その土地で想定される風に対する余裕の程度を表すものとして読みます。

房総半島台風のあとの国の部会の資料は、今後の方向として、住宅性能表示制度の活用などによる屋根ふき材の耐風性能の「見える化」を挙げていました。耐震等級や断熱の等級を含めた性能表示の全体と、評価を受ける時期は、市原市の新築の住宅性能のページで扱っています。


竜巻や飛来物では、窓や雨戸が壊れて屋根まで被害が広がることがある

2019年10月12日には、台風第19号の接近に伴って市原市で竜巻と推定される突風が起き、気象庁はその強さをJEF2(風速約55m/s)と評定しました。国の研究機関の調査では、雨戸を閉めていても飛んできた物で建具が壊れ、家の中に風が吹き込んで屋根の破壊が進んだ例が報告されています。

国土技術政策総合研究所と建築研究所の現地調査報告によると、突風は10月12日8時8分ごろに発生し、被害は市原市の永吉・下野・潤井戸の地区を中心に、長さ約1km、幅約100〜300mの範囲に及びました。報告が引く市の速報(10月15日時点)では、住家などの被害は全壊12件・半壊23件・一部損壊54件です。気象庁の評定は、被害の状況から風速を推し量る日本版改良藤田スケールによるものです。

調査では、上部構造が倒れたり飛ばされたりした住宅を2棟確認し、いずれも築50年以上でした。そのほか、窓や外壁の損壊、木造の小屋組の飛散、瓦の脱落・飛散が見られ、家の中ではガラスやサッシの部材が飛んで内壁に刺さっていたと報告されています。

竜巻の風は、基準風速が想定する台風の風とは性質が違い、ごく短い時間に局所的に吹きます。房総半島台風でも、飛んできた物による瓦の破損が多く見られました。屋根の留め方とあわせて、窓や雨戸・シャッターがどの程度の風と飛来物に耐える仕様かも、設計の段階で尋ねておく項目です。


屋根の強風対策を確かめて家づくりを進める順番

屋根の強風対策は、候補地の市町村の基準風速を調べ、屋根材の種類と瓦の場合の留め方を決め、工事の記録で留め方を確かめ、耐風等級を評価するかを決め、最後に火災保険の風災の補償を確かめる、という順番で進めます。基準風速と屋根材は設計の前に、記録と保険は工事から引き渡しまでの間に確かめます。

STEP 1

候補地の基準風速を県の一覧で調べる

千葉県建築基準法令関係取扱基準集の一覧で、候補地の市町村が34・36・38m/sのどれにあたるかを確かめます。旭市・印西市・山武市は、合併前の区域で分かれている点に気をつけます。

STEP 2

屋根材の種類と、瓦の場合の平部の留め方を決める

瓦屋根を選ぶ場合は、基準風速に合う瓦の形と、平部の瓦を隣どうし組み合わせる仕組みがあるかを設計の担当者に尋ねます。スレートや金属の屋根を選ぶ場合も、下地への留め方を図面で確かめます。

STEP 3

工事の記録で、瓦の留め方を確かめる

国土交通省の施工者向けの資料は、瓦工事の品質管理記録(固定の状況、くぎ・ねじの仕様、部位ごとの写真)を工事監理者が設計図書と照らし合わせ、中間検査や完了検査の申請書の工事監理の状況に記す流れを示しています。引き渡しの前に、記録を見せてもらえるかを尋ねます。

STEP 4

耐風等級を評価するかを決める

住宅性能評価を受ける場合は、耐風等級を等級1にするか等級2にするかを設計の段階で決めます。評価を受けない場合も、構造の検討で基準風速がいくつで計算されているかを確かめておきます。

STEP 5

火災保険の風災の補償を確かめる

台風で屋根が壊れた損害は、火災保険の風災の補償で扱われます。補償の条件は保険会社の約款で違うため、見積もりの段階で確かめます。保険の仕組みは千葉県の新築の火災保険と地震保険のページで、土地を決める前に確かめるほかの項目は市原市で新築を建てる前に知っておきたいことのページで整理しています。


よくある質問

Q千葉県で新築の家を建てるとき、屋根の台風対策の決まりはありますか?

千葉県で新築の家を建てるときも、屋根ふき材は建築基準法施行令第39条と告示第109号の基準で風に備えることが求められます。2022年1月1日からは、新築の瓦屋根のすべての瓦をくぎやねじで固定することが義務になり、留め方は市町村ごとの基準風速で変わります。

Q市原市の基準風速は何m/sですか?

市原市の基準風速は38m/sで、千葉県特定行政庁連絡協議会の取扱基準集(2026年版)の一覧では、袖ケ浦市・木更津市・君津市なども同じ38m/sの区域です。千葉県内の市町村は34m/s・36m/s・38m/sの3つに分かれ、千葉市は36m/sです。

Q新築の瓦屋根は、すべての瓦を固定しなければいけませんか?

2022年1月1日以降に新築する家の瓦屋根は、軒・けらば・むね・平部のすべての瓦を、部位ごとに定められたくぎやねじの方法で固定する必要があります。同じ以上の耐力を持つ方法か、構造計算で安全を確かめた方法であれば、告示の方法によらなくてもよいとされています。

Q耐風等級は、屋根の瓦の留め方も評価しますか?

耐風等級は、暴風に対する構造躯体の倒れにくさと傷みにくさを等級1・2で示すもので、評価の対象は構造躯体と定められています。屋根の瓦の留め方は、建築基準法の告示第109号の基準に合っているかを、図面と工事の記録で別に確かめます。

Q令和元年房総半島台風では、どんな屋根の被害が多かったのですか?

令和元年房総半島台風では、被害のあった屋根の8割が瓦屋根で、瓦屋根の被害は当時の告示で固定の対象になっていなかった部分に多く出ました。すべての瓦を固定するガイドライン工法の屋根は被害が少なかった一方、どちらの工法でも飛来物で瓦が割れる被害が多く出ました。


まとめ

新築の家の屋根の台風対策は、建築基準法施行令第39条と告示第109号で決まっており、2022年1月1日からは新築の瓦屋根のすべての瓦を固定することが義務になりました。令和元年房総半島台風では千葉県内で7万7千棟を超える住家が一部損壊し、被害のあった屋根の8割が瓦屋根だったことが、改正のきっかけです。

瓦の留め方は市町村ごとの基準風速で変わり、千葉県内は34・36・38m/sの3つに分かれます。市原市は38m/sの区域で、平部の瓦は隣どうしをフックなどで組み合わせる形が求められます。スレートや金属の屋根は今回の改正の対象外で、構造躯体の風への強さは住宅性能表示の耐風等級で示されます。

基準風速は候補地が決まった時点で調べられ、屋根材と留め方は設計の段階で決まります。土地を選んだら基準風速を確かめ、瓦の形と留め方、工事の記録の見せ方、耐風等級の扱いを設計の前に尋ねておくと、完成したあとでは見えにくい屋根の強さを、決める段階で確かめられます。

出典

情報確認日:2026年10月5日 瓦屋根の緊結の方法は、国土交通省告示第1435号(2020年12月7日公布、2022年1月1日施行)で改正された昭和46年建設省告示第109号によります。千葉県内の市町村の基準風速は、千葉県建築基準法令関係取扱基準集2026年版の一覧によります。住家の被害の棟数は千葉県のページ(千葉県災害復旧・復興に関する指針 令和4年3月改訂より作成)、市原市の竜巻の被害の件数は国土技術政策総合研究所・建築研究所の報告が引く市の速報(2019年10月15日時点)、瓦屋根の部位ごとの被害の割合は国土交通省の資料によります。屋根材と工事の費用は、設計・施工を頼む会社にお確かめください。